人間魚雷「回天」、それは『特攻の島』から放たれた

特攻兵器がテーマに

いろいろな極限状態において飛躍した発想が生まれることがあります。太平洋戦争末期に日本で考えられた特攻兵器もその1つ。漫画『特攻の島』(佐藤秀峰)はそれを題材にしたもので、無料漫画アプリ「マンガKING」で読み放題作品として大好評公開中です。


本作には実在の人物も多数登場しますが、主人公となったのは架空の青年である渡辺裕三(わたなべ ゆうぞう)です。九州の貧しい家庭に生まれ育った渡辺は、身体を悪くした父親に代わって一家を支えるために働いているのですが、少しでも暮らしを楽にするために航空兵の訓練所である予科練に志願します。

母からもらった画帳

下のコマを見て不思議に思った人もいるでしょう。「名前が反対になっている」と。つまりこれは渡辺が書いた自画像なんです。物語では渡辺が絵を描いているシーンが何度も登場します。単に景色だったり周囲の人だったりもするのですが、その中でも継続して継続して描いている自画像の変化を単行本の表紙で追うことができます。それぞれの渡辺がどう思っているか読者視点で想像するだけなのですが、皆さんはどう想像するでしょうか。

人間魚雷「回天」の中

基本的に1人乗りの「回天」ですが、漫画の中では渡辺が上官と乗り込むシーンが描かれています。回天のことを“棺桶”と表現することもあるとのことで、まさに棺桶そのものです。一旦乗り込んだら潜望鏡以外では外を見ることができず、基本的な操縦は計器と計算頼り。そして人間魚雷としての成功は搭乗員の死に直結します。

出撃、帰還、再出撃

訓練シーンなども描かれているのですが、作品の後半は実際の出撃場面で占められています。最初の出撃では機器の故障により帰還した渡辺でしたが、再度の出撃の機会を得て前線に向かい、回天として発射され敵の駆逐艦を撃沈しています。もちろん渡辺も戦死しているのです。

彼らの死は何だったのか

終戦後、渡辺の描き残した自画像や遺書を読んで上官達が涙する場面があります。作品としてのエピローグでもあり、上官の視点から描かれた総集編でもあるのですが、上官の見方はほぼ読者視点と同じではないでしょうか。渡辺の心情にしても思想にしても、想像で語ることしかできないのが歯がゆいばかりです。

最後の1年間がここに

芳文社「週刊まんがTIMES」にて連載された本作。2004年から2017年に渡っての長期連載でしたが、掲載が不定期だったこともあり単行本は全9巻に収まっています。昭和19年秋から20年夏までの1年間をギュッとまとめた9巻を、ぜひ漫画アプリ「マンガKING」で読んでみてください。

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